どうしても欧州の動向に世界の注目が集まりがちであるが中国もとても気になるところである。中国経済に数年前の勢いは見られず、誰が見ても雲行きが怪しくなっている感じである。今年は、胡錦濤国家主席から習近平体制に移行する重要な年であるが、ここにきて中国内部では様々な問題が噴出しているようだ。重慶市トップの薄氏の解任騒動、盲目の人権活動家、陳氏の騒動など話題に事欠かない状況である。
高度成長期においては、経済成長によって独裁の弊害は包み隠されていたものの、経済の減速と足並みをそろえるかのように中国共産党の威信は大きく低下しているように見える。中国共産党の政治は独裁、経済は自由という『政経分離政策』の限界が見えてきた。預金準備率を引き下げるなど何とかして経済のソフトランディングを図りたい中国政府であるが、リーマンショック後の巨額の財政出動や先進国の低金利マネーの流入による不動産バブルなどに関連して銀行の不良債権はかなり膨らんでいるとの指摘は多く、いつ日本のように不動産バブルがはじけて金融危機が起きてもおかしくない状況にも見える。もちろん中国のバブルがいつはじけるのか?誰にも分からないし、そもそもバブルなのかどうかも断定することはできない。バブルがいつはじけるのか?を正確に予測することは不可能であり、はじけて見て初めて分かるということなのだろう。しかし、このところの中国経済には、どうも不穏な空気が漂っている事は確かなのだ。GDPやCPIなど経済指標の信頼性にも問題があり、金融市場も未発達である。共産党によって情報も統制されており、香港経由で出てくる情報分析だけでは、中国を理解することは出来ない。これほど分析が難しい国はないだろう。
さて中国経済の減速感が強まる中、相対的に実体経済の調子がいいのは日本とアメリカである。今年に限っては、久しぶりに日米が世界経済を牽引するという年になるかもしれない。本日発表の1~3月のGDP速報による実質GDPは年率換算で4.1%増であった。このところ日本の株価は欧州不安などの影響もあり、個々の企業業績に比べても下げすぎかと思う。日本の株式投資家にとっては久しぶりにチャンスが到来しているのかもしれない。
ギリシャ人『ユーロから離脱したくないけど、緊縮策は嫌だ!』こんな国民性だから何度も国家破綻するのだろう。『国家は破綻する』によれば中央政府がこれまで破綻(デフォルト)していない国は、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、デンマーク、タイ、アメリカなど少数。フランスは8回、スペインはそれ以上。ギリシャは常習犯である。
5月18日にナスダックに上場すると見られているフェイスブックの公開価格が一株当たり34~38ドルに引き上げられたようだ。マーケットには金融緩和マネーがジャブジャブでありフェイスブック株への需要は大きい。時価総額は最大で8.3兆円に達すると報道されている。最新の日本企業の時価総額ランキング(下記参照)によると、フェイスブックはトヨタの次に大きい会社ということになる。ちなみに時価総額8.3兆円は、三菱商事、三井物産、住友商事、伊藤忠商事、丸紅の大手商社5社の時価総額合計とほぼ同じである。この事実を見ても、何かおかしい気がするのである。
株価は業績と人気で決まるわけであるが、フェイスブックの将来に対する期待が大きいことは間違いない。一方で上場後の株価には悲観的な声も多くみられる。インターネット人口の約半数の9億人が利用するフェイスブックであるが、アメリカではフェイスブック人口は50%を超え、飽和状態になっている。本家のアメリカにおいて利用者数は、頭打ちで殆ど伸びていないというわけだ。またアメリカ人のフェイスブック疲れもあるようだ。そういえば知り合いのアメリカ人も以前ほどフェイスブックを使っていない感じだし、確かにピークは過ぎてしまった感じはある。猛スピードで急成長したものの、上場時には既にピークを過ぎていたという可能性は十分にありそうだ。
さて歴史をさかのぼるが18世紀にイギリスで常軌を逸する投機ブームが起こった。あのアイザック・ニュートンも大損した南海泡沫事件(South Sea Bubble)である。人間は愚かであり、いつの時代にも儲け話には弱い。人間の強欲さによってバブルは繰り返すのである。さてフェイスブックは、21世紀の南海会社になるのだろうか?今のところ誰にも分からないが、アップルの株価が業績の裏付けがあるのに対してフェイスブックの株価には明らかに過熱感があるのだ。金利がゼロであることも過熱感を後押しするだろう。
オマハの賢人ウォーレン・バフェットは、IT関連銘柄に興味はないことで有名であるがやはりフェイスブック株に興味はないらしい。むしろ最近買ったIBM株の方がお気に入りの様子である。今後のフェイスブック株の推移は、経済を見るうえでとても興味深い。私の勘では10年後のフェイスブックの株価は、10分の1以下になっているだろう。
日本企業の時価総額ランキング 2012年5月15日時点
1位 トヨタ(10.91兆円)
フェイスブック(8.3兆円?)
2位 NTTドコモ(5.70兆円)
3位 三菱UFJ(4.94兆円)
4位 ホンダ(4.81兆円)
5位 NTT(4.78兆円)
6位 キャノン(4.55兆円)
7位 JT(4.15兆円)
8位 日産自(3.48兆円)
9位 三井住友FG(3.32兆円)
10位 ファナック(3.21兆円)
ギリシャのユーロ離脱の可能性が指摘されている。しかし、ギリシャのユーロ離脱によって欧州問題が解決するなんてことはあり得ず、むしろ事態は、今よりますます複雑化し、悪化するだろう。よってギリシャはユーロに残るべきなのであるが、問題は、ギリシャ国民がやけっぱちになっていることだ。緊縮財政による日々の生活の悪化によるストレスでギリシャ国民は完全に冷静さを失っており、極端な思想に走りがちである。いつの時代も、追い込まれている人間は冷静さを失い、愚かな判断を下しがちである。当たり前の話であるが愚かな判断の結果、事態が好転することはない。
サルコジ氏がオランド氏に敗れたこと、ギリシャの総選挙の結果もある程度予測できていたことではあるが、国民の不満がたまっていたところに2つの選挙が火をつけてしまう結果となった。ドラギ・マジックによって金融危機を防ぎ、時間稼ぎができたわけで今後の財政再建にはマジックなどなく、退屈で地道な努力を要するわけであるが、なかなか豊かさを手に入れた先進国の人々は、生活の質を落とすことが出来ないようだ。結果的に緊縮財政に反対する声がどんどん大きくなり、欧州の財政再建の雰囲気に水を差してしまう結果となった。サルコジ敗北の意味は、意外と大きいのかもしれない。
何の罪もない世界中の人々を巻き込み、世界経済をどん底に突き落としたリーマン・ショックを思い出してほしい。アメリカの一投資銀行の破綻がどれほど世界経済を悪化させたのか記憶に新しいところである。あのような事態は、当然コリゴリであるが、ギリシャ離脱問題は欧州経済のみならず日本を含む、世界経済に甚大な影響を与えることを理解しなければならない。
もし仮にギリシャがユーロ離脱という愚かな選択に傾いた場合、ジョージ・ソロスが言っていたように、『資本主義の終焉』も現実味を帯びてくる。
ベルリンの壁崩壊後、奇跡的であるが1990年に東西ドイツが統一した。東西ドイツ統一後も決して平たんな道のりではなかったが1999年のユーロ誕生によって欧州には輝ける未来が待っているように見えた。しかし2012年現在、欧州は危機の真っただ中にあり、ユーロ誕生後、最大の危機に立たされている。
今一番大切なことは、ギリシャが離脱しないこと、欧州各国はギリシャを離脱させないことが何よりも重要であり、そのためには欧州各国のみならず日本政府も出来る限りの最大限のサポートを行うべきである。欧州危機は、対岸の火事ではなく、明日は我が身かもしれないのだから。
戦後の日本において生命保険ほど成功したビジネスモデルがあるだろうか?いや、おそらくないだろう。
個人的にいい保険会社を2社あげるとすれば、プルデンシャル生命とライフネット生命の2社だと思っている。あくまでも個人的な見解であるが、そう間違っていないと思う。ライフネット生命は、徹底的に無駄を省き、商品をわかりやすくした点が素晴らしい。
プルデンシャルの場合も同様に、商品はシンプルであるが、商品は営業マンが顧客のニーズに応じて設計する。手がかかっている分、全般的に保険料は安くない。プルデンシャルは、広告費や本社機能をスリムにしてコストを浮かして人件費にかけるから、営業マンの報酬は高い。保険販売は、非常に高度である(積極的に入りたいものではない)ため、営業マンの報酬が高いことは悪い事だとは思わないが、人件費は当然、保険料に上乗せされるわけだ。プルデンシャルには、能力の高い人がたくさんいることを知っているし、保険業界において人材という点では一番レベルが高い会社だろう。まあそもそも販売員のレベルが高い業界ではないのだが。しかし、プルデンシャルにおいても営業マンのクオリティーには、ばらつきも大きい。いい営業マンに当たればいいが金融経済の知識も全くない年収数千万円を稼ぐど素人もいることには注意が必要だ。特に新人は、ガッツだけで何も知らないことはいうまでもない。個人的にプルデンシャルは少数精鋭を貫くべきで、規模を拡大しない方がいいと思うが、株主がいる限りそういうわけにはいかないのだろう。
多少、欠点はあるものの全体的に見ればプルデンシャルという会社は、日本にある会社の中でも素晴らしい会社の一つである。会社の雰囲気も良く、人材も豊富である。しかしビジネスモデルは、個人のスキルにかなり依存しており、変化に対応できる人とそうでない人との格差は、かなり広がっているのも事実。営業マンがいないライフネット生命と全く正反対のビジネスモデルなのだ。
どちらがいいという話ではないし、今後もどちらも成功する会社だと考えているが、顧客に同じクオリティーの商品、サービスを提供できる点においては、ライフネット生命のビジネスモデルに軍配が上がりそうである。ただし、真のきめ細かいコンサルティングを必要としている方や担当者に価値を見いだせる人は、プルデンシャルと付き合うメリットは大きい。しかし、これから保険に加入する若い人には、今のように給料がなかなか増えない時代には、おそらくライフネット生命の商品の方が受けるだろう。
しかし、最終的には契約者の考え方次第であり、自分にあった保障を選択すればいいことである。保険会社を選ぶことも大事であるが、どのような保障なのか?これが重要である。
ライフネット生命は、出口社長の知識、経験、洞察力をフル活用して保険を本当に必要としている20代、30代の子育て世代に焦点を絞り、理想的な保険とは何か?を追求している。保障すべきは教育費であり、誰もが働くことを前提とすれば教育費以外の保障は必要ないと言い切っているところが凄い。おそらく出口社長以外にはっきりと公言できる人は、いないだろう。経験が必要である。もし他の人が同じ発言をすれば業界から『分かってないな。』とたたかれるはずである。
終身保険はいらないという結論を導きだし、定期保険のみで勝負しているところがライフネット生命の強み。実はプルデンシャルも他の大手保険会社に比べて保険商品は極めてシンプルであるが、ライフネット生命は、それよりもさらにシンプルである。プルデンシャルでは保険は三角であるべきとしているのに対して、ライフネット生命は四角であるべきと言っている点も非常に興味深い。
また出口社長は、今のように長期金利が歴史的に低い状況下においてわざわざ保険会社に手数料を払ってキャッシュバリューのある終身保険に入る意味はなく、国債を買った方がましだというお考えである。これにはファイナンシャルアドバイザーとしては全く同感である。終身保険の役割が全くないというわけではないが、確かに今後は主に相続や死後の整理資金を保険で積み立てたいというニーズに限られてくるだろう。ある程度の知識がある人は、終身保険よりは国債、学資保険より、投資信託で積み立てたほうがいいと私自身、日頃から言っているが、一般の人たちは、長期金利の事も国債の事も投資信託の事も分からないのが現状。だから、これからも保険会社に勧められるまま終身保険と学資保険に入り続けるだろう。まあ最近は、それはそれでいいと思うし、みんなが賢くなったら国債なんか誰も買わなくなって金利が跳ね上がって日本が破綻するわけであって、トータルで見れば何が正しいのかというのは難しい。もちろん私のお客様には正しいことをお伝えしたいが、みんなが合理的に行動することはあり得ないのである。毎月分配型の投信など、その典型である。
さてライフネット生命は、まだ立ち上がったばかりの会社であり、当然、黒字化しているわけではない。広告費など先行投資も大きいし、保険会社特有の会計方法もあり、そんなにすぐ黒字化というわけにはいかないビジネスである。しかしキャッシュフローには不安はない。順調に顧客が増えている事と資金調達に強みを持っているため、一旦黒字化するとかなり足腰の強いビジネスに成長するだろう。出口社長の100年後の世界一を合言葉に、一歩一歩進んでいる感じである。ベンチャー企業において成長のための時間を買う意味でも資金調達力というのはとても重要なのだ。
プルデンシャルとライフネット生命の話はこれくらいにして最後に宣伝したい。
あまり人には話していないが実は、当社マネークリニックも保険代理店登録をしている。ほとんど営業していないため年に数件程度しか販売していないため、今にも首になりそうである。保険代理店は、一定期間販売しないと首になるのだ。私は一度代理店をやってくれと某生命保険会社に頼まれてやったのであるが、販売が足りず突然、首にされた経験を持っている。本当に酷い話である。
ということで当ブログを読んでいる読者の皆様で保険の見直しやご加入を検討している方は、まず私にご相談いただきたい。私が最適な保障を提供させていただきます(笑)
先日、学生の皆さんに『誰も教えてくれない金融の基本』というテーマで講義した。中央銀行の役割について説明するため、まず最初に日本銀行券が日銀の負債であることについて話した。バランスシートとは何かを説明した上で、なぜ紙幣が日銀の負債なのか?金本位制度、ニクソンショック、プラザ合意などの歴史を踏まえて解説した。日銀のバランスシートは、日銀のホームページ営業毎旬報告で誰でも見ることが出来るのであるが、どうも社会人も含め、日銀のバランスシートの意味が分かる人は少ないようだ。
経済や金融の基本は、おそらく社会に出ても、誰も教えてくれないのだろう。
さて日銀は、2012年末に日銀が保有する国債残高は92兆円に達する見込みで日本銀行券の発行残高83兆円を約9兆円上回るとの試算を公表した。ちなみに今年3月末時点では国債残高71兆円に対して、日銀券は81兆円であった。日銀の金融緩和が不十分だという指摘があるが、過去のバランスシートの推移を見れば全くの間違いであることが分かる。バブル崩壊後、長きにわたって続く日本経済の不振から日銀のバランスシートは急拡大している。FRBやECBなどと比較しても日銀のバランスシートの大きさは明らかである。
それにしても国債保有残高が日銀紙幣の発行残高を逆転するというのは、戦後初の事だそうだ。欧州経済ばかりに注目が集まりがちな世界経済であるが、次にマーケットの標的となるのは間違いなく日本だろう。大手銀行は長期金利上昇のシュミレーションを始めている。個人としてもそのリスクに備えるべきだろう。
前立腺がんを告白してからウォーレン・バフェットに関する記事が増えているような気がするが、スティーブ・ジョブズ亡きあと、世界が最も注目する人物なのかもしれない。バフェットは、金への投資には無関心であるが、次のような名言をいっている。
『あなたが金を1オンス買ったとして、100年経っても1オンスですよ。』
何と深い言葉なのだろう。私も死ぬまで株式投資を続けていきたい。
複数のお客様から最近の日本株の下落と世界経済の因果関係についてご質問をいただいたので現状認識についてまとめてみたい。(*ただしあくまでも予測であり、未来は不確実であるため投資判断についてはくれぐれも自己責任のもとでお願いします。)
まず世界経済で最も重要な国、アメリカ経済であるが4月の雇用統計が予想を下回り+11.5万人(事前予想+16万人)となった。マーケットはこれを嫌気したものの、緩やかながら雇用は増えていることから、さほど心配することはなさそう。1月、2月の暖冬の影響で雇用が増えた反動が4月に出たという可能性も指摘されている。GDPの7割を占める個人消費は、堅調に推移している。3月の小売売上高は事前予想の+0.3%を大幅に上回る0.8%となった。住宅市場に関しては依然、リーマンショック前の水準からは程遠い状況であるが、総じてFRBの異例の金融緩和効果によって株価は高水準を維持しており、どうも大崩れするような状況ではなさそうだ。とはいえ金融相場は終焉しており、欧州経済という重石があるためNYダウが13000ドルを大きく上回っていくような勢いは感じない。マクロで見ればアメリカ実体経済はまずまず堅調という印象である。しかし大統領選挙後に、昨年ゴタゴタした債務上限引き上げ問題が再びぶり返す可能性は大きく、大統領選というよりも財政問題がアメリカの焦点と考えている。アメリカ経済が堅調でマーケットが大崩れしないということで大統領選挙はオバマ勝利で決まりだろう。ロムニー候補は、影が薄すぎであるし、アメリカの失業率が少し低下してきたこともオバマの追い風になる。ただし全人口に占める雇用者数比率はリーマンショック前の63%から58%台に低下したままで、金融緩和に支えられた雇用なき緩やかな回復であると言えるだろう。アメリカ経済の見方はさまざまであるが、産業の主役がモノつくりからITなど知識産業にシフトする過程で人口が増えるものの雇用者率は伸びないという状況が続きそうである。今年に関して言えばダウは上昇しないが大崩れはしないというのが私の予想である。
一方、個別企業を見ればアップル、マイクロソフト、グーグルなどIT企業が経済をけん引している。完全にアメリカ経済の主役は金融からITに変わった。まあ金融が主役ということ自体がおかしいわけで本来の黒子に徹するということはむしろいいことだととらえている。主役不在の日本とは対照的にアメリカでは上場を控えるフェイスブックなど優良企業が次々と誕生している。金利なき先進国において資金需要が弱く、お金があまる組織、お金が足りない組織のギャップが大きくなる。お金の行き場がなく、低金利マネーは安全資産である米国債に流れる結果、長期金利は、1.8%に低下。米経済の期待成長率も高くないことから、長期金利が大きく上昇することはなさそう。ドイツ10年連邦債の利回りは初めて1.5%を割り込み、日本も0.85%に低下。単純にドイツと日本という国を比較することは出来ないが、長期金利の推移をみている限りでは、欧州連合(EU)の経済状況は、バブル崩壊後の日本とだぶる。ベルリンの壁崩壊から続いた西側先進国の好景気がリーマンショックで終焉し、さらに欧州債務危機を経て、これから苦しい10年が始まるのかもしれない。欧州に輸出している中国の高度経済成長も終焉し、安定成長を目指すはず。不確実な輸出に依存した経済から内需拡大に緩やかに転換したいところであるがなかなかそんなにうまく転換することは難しいのも事実。習近平体制で中国政府がどのようなかじ取りをするのかにかかっている。フランス大統領選挙、ギリシャの総選挙の結果を受けてマーケットではリスク回避から株価のみならず原油先物も急落。欧州経済の状況を見極めながら次なる投資先と投資タイミングを探しているという事だろう。それは中国やインド、ブラジルのような新興国の企業かもしれないし、日本のベンチャー企業かもしれない。
まとめであるが、世界経済はイアン・ブレマーが指摘するようにG-ZERO時代(主役なき世界)の流れが続くだろう。欧州経済の傷跡は深く、立ち直るには10年単位の年月が必要で、欧州を大口の得意先としていた中国経済もその影響は避けられない。中国経済の減速はアジア経済にとっては当然マイナスである。世界の中心軸が西から東へシフトしているがそのスピードは、やや減速し、世界経済は、やはりアメリカ人の個人消費に依存する従来の構図から大きく変わっていないのかもしれない。アメリカ市場で韓国のサムスンなどに敗れたソニーやパナソニックがどのように巻き返していくのか注目したいところ。一方で日本においてはトヨタや日産、ユニ・チャーム、東レなど世界と戦える企業は別として図体だけがでかい大企業は淘汰されると考えている。商社のように商魂たくましい組織は生き残るかもしれないが、老舗企業とはいえ、世の中の変化についていけない企業は、米イーストマン・コダック社のような道をたどることだろう。対照的に変化に対応した富士フィルムは素晴らしい。
ということで世界経済は、マクロからミクロへシフトしている。マクロだけ見ていても真の経済は読み解けないということ。日本経済全体は、いまいちだけどプリウスは良く売れるね。保険業界は、衰退しているけどプルデンシャルやライフネット生命は元気だねとか。もちろん人気が高い会社の株は割高になることも多い。株価に織り込み済みの場合は多く、人気がある会社の株を買えば儲かるという単純な話ではない。NT倍率を見て日経平均に対してTOPIXがかなり下げているからTOPIXを買う方法だって立派な投資法である。自分自身の投資戦略をしっかり確立して、変化に対応していく事が大切である。
昨夜のスノーボールの後、参加者の皆さんからお礼のメール、電話を多数いただいた。出口社長に刺激を受けたとか、負けないように頑張りたいとか前向きな意見ばかりであった。そしてふとダメな政治家のことを思い出したので書き留めておきたい。
出口社長は10人集まれば、手弁当でお話をしに行きますと公言されており、それを有言実行されている。フェイスブックでも講演の様子などどんどん載せていただいて結構です!とおっしゃっている。ライフネット生命には営業マンがいないのであるが出口社長自身がトップセールスを実行しているのだ。インターネットやテレビCM、広告などマーケティングを駆使したマクロ戦略と出口社長自ら、全国各地を飛び回るミクロ戦略が実にいいバランスを保っている感じである。
それとは対照的に以前あった駄目な政治家の話をしたい。名前は敢えて言わないが、駄目な政治家は、10人の聴衆の前では人数が少なすぎると不機嫌になり、講師という立場にもかかわらず大した準備をすることなく全力投球しない。つまり10人では票にならないと考えているのだろう。結果、講演は酷い内容になり参加した10人は『やっぱり政治家は駄目だよね!選挙の事しか考えていないんだね本当に。』という話が10人からあっという間に拡散することになるのだ。本当にお馬鹿さんなのである。
出口社長のように出来る経営者は、10人の背後にたくさんの人々がいることを当たり前に理解している。人間10人の力は大きいことを理解しているから、講演では常に全力投球をする。その結果、素晴らしい講演となるため10人からいい評判がフェイスブックやツイッターを通じて拡散するわけだ。駄目な政治家は、10人の聴衆に対して10人という頭数しか見ていないから大した準備もしないで力を抜くのだ。全力投球しても大したことのない人間が力を抜くのだから、本人の知らないうちに、悪評がどんどん拡散するというわけだ。実に怖い世界。10人の人間の心を動かすどころか10人に評判の悪い人間が国会議員になられては困るのだが、実際はそんな人たちばかりが国会議員になっているのだ。誠に残念であるが日本の政治家はどうも、まともな人物が少ないようである。出口社長のような方に国会議員になってほしいものである。
第8回スノーボールは、ライフネット生命の出口治明 社長をゲスト講師にお招きし、『保険業界の未来』というテーマで講演いただいた。
私自身、仕事柄、著名な経営者、政治家、エコノミスト、大学教授などの話を聞く機会は多いほうであるが、出口社長のプレゼンテーションは、これまで参加したどの講演よりも刺激的で印象に残る内容であった。ダメな政治家や冴えない大学教授の机上の話ではなく第一線で活躍する経営者の生の言葉には説得力があり、大きな刺激をいただくとともにたくさんの気づきをいただいた。私だけではなく参加者の皆さんも同様に大きな刺激を受けたようである。本物の経営者にお会いできたことは、とても貴重な機会であった。
私自身、ファイナンシャルアドバイザーとして独立している立場であるがこの方と一緒に仕事が出来れば楽しいだろうなーと思える数少ない経営者であった。おそらくライフネット生命という会社の明るい雰囲気は、そんなところから来てるのだろう。
さて昨日の講演そして質疑応答さらに懇親会の席で出口社長のお考えをお聞きし、私自身がこれまで学んできた金融経済の見方が大きく間違っていないことを再度確認ができたこと、そして、あらたな視点に気づかせていただいた事にあらためて感謝したい。もちろん生命保険の考え方そして世界経済の見通しなどについては多様な考えがあり、出口社長のオピニオンが全て正しいとは思わないが、多くの大人が自分の意見を曖昧にし、主張しない日本社会の中で理路整然とご自身の言葉ではっきり発言される姿に共感すると同時に私もそうありたいと思った。講演は、とても中身が濃い内容だったため、仕事で参加できなかったメンバーのために何度かに分けて率直な感想を交えて書いてみたい。文章に自信がないのでまとまりがない点についてはご容赦いただきたい。
ところで講演後の懇親会の席で出口社長に『ライフネット生命のライバルはどこですか?』と質問してみた。すると出口社長は、『グーグルとアップルです。』と笑顔で答えてくれた。おそらく保険会社の名前が出てこないだろうと思っていたが、グーグルとアップルという答えに驚くと同時に出口社長のライフネット生命への並々ならぬ思いを感じた。『やはり保険会社は、ライバルではないのですね。』というと、ニコリとうなずいてくれた。
あくまでも個人的な感想であるがグリーやDeNAがどんなに稼いだとしても尊敬の念は全くないが、米IT、グーグルやアップルそしてマイクロソフト、フェイスブックは、世界で称賛されている。
かつてのソニーやホンダのようにワクワクさせてくれる日本企業が見当たらない中で、ライフネット生命の登場には何か大きな可能性を感じる。日本の生命保険という独特な市場の中だからこそライフネット生命が誕生したと私は思っているが、ドラッカーは著書『ネクストソサエティ』の第3章で金融サービス業の危機とチャンスについて触れている。ドラッカーは日本の金融システムが1950年以前の時代遅れのままであるとし、だから唯一のチャンスは日本市場だと指摘した。そして日本の金融業界にイノベーションを起こすのは既存の金融機関ではないと予測していた。この本、14年前、1998年に書かれた本であるが、今回の出口社長の講演を聞いてライフネット生命が、日本の保険業界および金融サービスを大きく変えるイノベーターなのかもしれないと直感的に思った。
ライフネット生命は20代、30代を中心とした子育て世代の保険料を半額にすることをうたっている。これはある意味とても単純な話であるが既存の生命保険会社が誰一人として取り組んでこなかったこと。生命保険そして金融を知り尽くした出口社長とインターネットの発展がうまく融合して新たなイノベーションが起きたのかもしれない。
さて講演のエッセンスについてであるが保険業界には、少子高齢化という逆風が吹いており、主要な顧客層である20代、30代の子育て世代が減少するという前提がある。また顧客のみならず生命保険の販売員、セールスフォースも減少していくことは確実であり、生命保険業界はその対応として、1.業務の多様化 2.海外進出 3.ビジネスモデルの転換が必要になるとのご指摘があった。ビジネスモデルの転換については、裏返せば既存の保険会社があいかわらず高度経済成長時代のビジネスモデルから脱却できていないことの証でもある。
世界に類を見ない戦後日本の高度経済成長時代。年平均7%で30年にわたって成長した日本経済の規模は倍々ゲームで8倍に膨れあがった計算となる。そのような状況において『数は力である』という信奉が生まれ、そして護送船団行政が生まれた。当時の護送船団行政そのものが悪いという単純な話ではなく、高度成長期にはそのやり方がある意味効率的に機能したのだろう。話が飛んでしまうが、談合だってあの時代においては、むしろ効率的なシステムだったのかもしれない。経済のパイがどんどん大きくなる高度成長期の保険業界においても保険料の比較などは行われずGNP(義理、人情、プレゼント)が重要だったというわけである。そもそも保険料自体がどこの保険会社も横並びなのだから、それ以外に生命保険を選択する要素はなかったのである。長期金利だって高かったから生命保険会社の手数料は、予定利率の高さで隠すことが出来たわけである。みんな直接、国債を買った方がいいことも知らないわけで、保険会社や郵便局の言いなりで保険が一番安全だと考えていた、そんな時代だったのである。
ちなみに出口社長が日本生命に入社した1972年の初任給は4万7000円だったそうだ。その当時、先輩から勧められた保険は、月額1万円の保険料だったそうで『これじゃー飲みにいけないじゃないですか』というと『来年の給料は1万円上がるから大丈夫だと』言われたそう。高度経済成長期は、1973年のオイルショックを境に安定成長に向かうわけであるが、1972年のこのエピソードはまさにこの時代を象徴しているように思われる。
そして時代は流れバブル崩壊後の日本は、『失われた20年』ともいわれる経済状況に一変した。個人的には今の時代の方がよっぽどまともで、高度成長期の方がおかしいと思うが、あの時代に年功序列、終身雇用、安定した年金が当たり前となっていた人々にとっては右肩上がりに上がる給料を自分の実力と勘違いしても仕方ないだろう。もしかすると既得権という意識そのものも乏しいのかもしれない。あるいは不都合な真実として無視しているのかもしれない。今、欧州で起きていること、自分たちの責任は棚に上げて国の批判を繰り返す人々。ギリシャで起きている問題と日本で起きている問題は、本質的には何ら変わらないような気がする。
既得権を持った人々は、絶対にそれを手放したくない。世界に類を見ない高度成長時代を引きずった国、企業、個人。政治家だけではなく経営者も大学教授も官僚もサラリーマンも含めて、あまりにも既得権にしがみつく人が多い結果、日本はGDP比200%を超える天文学的な借金を抱えることになった。
悪しき成功体験?から脱却できない日本つまり高度経済成長期、出口社長の言葉を借りると1940年体制を未だに引きずっている延長線上に今の日本の苦境があることを改めて認識した。
特に経団連に代表される大企業の経営者らがあいかわらず政府・日銀や官僚に国家の成長戦略を求めるところに大きな懸念を抱かれていた。確かに経営をやったこともない政治家や官僚に成長戦略など描けるはずはなく、官僚が国家戦略を作っている事自体が大きな間違いである。経営者にも問題がある。出口社長も『日本を代表する企業経営者が国民の税金を使ったFXを強要するのは明らかにおかしい。』と民間企業のトップが為替介入に言及することに対して痛烈に批判されていた。日本の円高デフレ恐怖症は深刻である。為替介入については効果がないばかりかその弊害については当ブログでも再三指摘している通りである。外為特会の損失の意味を理解している人は少なく、ただやみくもに円安を望む人たちがいる。国民が知らないところで国益が失われているにもかかわらず・・・。あまりにも長く続いた円高デフレの影響で円安とインフレの怖さの認識そのものが足りないのだ。
長くなってしまったが戦後の奇跡的な高度経済成長を遂げた日本において、個人が国や企業に過度に依存した結果、気づいた時には人が劣化し、企業は国際競争力を失ってしまった。そんな2012年の日本において出口社長、ライフネット生命の考える生命保険とはどのようなものなのか?次回ファイナンシャルアドバイザーの視点からあるべき生命保険についてまじめに書いてみたい。(続く)
仕事柄、時間があれば金融経済関連の本を読んでいるが、ためになる本や読みたいと思う本は残念ながら書店には殆ど置かれていない。だから仕方なく、大学の図書館に通って、面白い本を探している今日この頃である。私が読みたいと思う本、面白いと思う本は、おそらく一般大衆向けではないのだろう。本を書いて儲けたいのであれば勝間和代のように一般大衆に受けなければならない。私からみれば、大したこともなしていない人物の唱える自己啓発本など読んでも何の役にも立たないと思うのだが一般大衆は役に立つと考える。まあそれはさておき出版社のマーケティングの力でくだらない本もそこそこ売れる仕組みになっている結果、書店には実に薄っぺらい本ばかりが溢れているというわけだ。
数年前の『もしドラ』のような本がベストセラーになるのだから世の中は実に不思議である。ちなみに私も娘に借りて読んだが全くと言っていいほど面白くなかった。あの本をおもしろいという人の感覚が私にはまったく理解できない。ドラッカーの考え方を知りたいのであればドラッカー本人の本を読めばいいのではないか。
経済においてはアダム・スミスやケインズ、シュンペーター、フリードマンなどを読むことによってさまざまな経済理論や基本知識が身につく。さすがにケインズの『一般理論』は、難解であるため、さまざまな解説本を活用しながら理解するのもいいだろう。個人的に経済の入門書としてはスティグリッツの入門経済学をお勧めしたい。経済を学んだことのない人も簡単に読み進めることが出来る本である。
資産運用について知りたいのであれば、そのへんの金融関係者やFPが書いてる本なんかたくさん読んでも時間の無駄である。簡単に言えば、しっかり稼いで節約して資産運用で増やしましょうと書かれているだけであり、それ以外に重要なことは書かれていない。実に薄っぺらいのである。資産運用を学びたいのであればチャールズ・エリスの『敗者のゲーム』とベンジャミン・グレアムの『賢明なる投資家、上下』この3冊を読んで理解すれば十分である。あのウォーレン・バフェットの師匠であるベンジャミン・グレアムの本を読まずして、くだらない本ばかり読んでいるから日本の投資家のレベルがいつまでたっても上がらないのである。ちょっと辛口になってしまったが、もし私が本を書いたとしても、きっと薄っぺらい本になることは間違いない。物事の本質を理解するためには原理原則を理解しなければならない。基本がしっかりしているからこそそれが土台となり知識が飛躍的に高まってくるのである。つまり、いい本を選ぶことは、人的資産を高めるうえでとても重要な要素である。くだらない本を何冊読んでも基本は身につかない。いい本をじっくり読むことが大切である。
今日は、金融経済の話ではない。松井秀喜の話である。星稜高校時代に甲子園で5打席連続敬遠されたにもかかわらず、顔色一つ変えず一塁に黙々と走る姿を見て、こんなに凄い高校生がいるのかと驚愕したものだ。以来、20年近く松井秀喜に注目してきた。もちろん一野球選手としてもそうであるが、彼の一挙手一投足に注目してきた。ジャイアンツの4番という座を捨て、名門ニューヨークヤンキースに移籍してからメジャー10年目のシーズンは、所属チームが決まらず松井にとっても厳しい期間であったに違いない。しかし彼はこれまでにも数々の壁を乗り越えてきた。誰よりも忍耐力を持っている松井だからこそ、日本に帰ってくることはなかった。そして、ついにレイズとの間にマイナー契約がまとまった。昨日、記者会見を行い、インタビュアーから質問を受けた際に、松井の口から出た言葉にただ感動した。
インタビュアー『今後の目標は?』
松井 『ただ野球がやりたいだけ。』
大好きな野球に全てをささげ誰よりも真剣に取り組んでいる松井の心の底から自然に出た言葉に違いない。松井秀喜という人間の凄みと大きさを改めて感じるとともに、ますます松井秀喜のファンになった。メジャーでもう一度大きな輝きを見せてほしい。
4月28日18時から約2時間、武蔵野大学にて『誰も教えてくれない金融の基本』というテーマで講義を行った。主催者の窪田さん、会場手配をしてくれた武蔵野大学の仁和さん、意識の高い参加者の皆さんとともにとても充実した時間を過ごすことが出来た。やる気のある皆さんと一緒に学ぶのは実に楽しいものである。金融とは?お金とは?金利とは?バランスシートとは?なぜ金利は日々動くのか?金利と債券価格の関係、短期金利と長期金利とは?短期金利は誰が決めるのか?長期金利はどうやって決まるのか?中央銀行の役割は何か?お金の歴史~金本位制、第一次世界大戦、世界恐慌、第二次世界大戦、ニクソン・ショック、変動相場制、プラザ合意までの流れなどを解説した。かなり難易度の高い内容ながら皆さん、熱心に耳を傾けてくれた。終了後の懇親会も大いに盛り上がった。経済と金融の基本をどのように生かしていくのか?次回は、『誰も教えてくれないパーソナルファイナンスの基本』というテーマで講義を行う予定。毎回が真剣勝負!
経済学的に言えば、人間は教育を受けることによって労働力を養う。そして労働市場において自身の労働力を提供する対価として報酬を得る。
例えば23歳の新入社員の生涯賃金を長期金利1%で割り引いたもの、つまり現在価値がその人の持つ人的資本価値と定義される。よって同一人物である場合、1歳年を取ると1年労働可能年数が短くなるために人的資本価値は減少するわけだ。人的資本が減少するかわりに金融資本を蓄積しなければならない。つまりライフプランニングとは人生において人的資本と金融資本を適切に管理する行為でもあるわけだ。これがなかなか難しいのである。人間は自分が年を取っているにもかかわらず、いつまでも働けると勘違いしているからだ。定年を迎えたら、年金とこれまでに貯めたお金で長く続く可能性が高い老後を過ごすことになるわけだ。年金だってこのままではあてにならない。支給開始年齢の引き下げや減額は覚悟しなければならない。
これからお金をどう管理していくのか?その能力を磨いておくことを若い方々には、おススメしたい。そのためにも人的資本を高めることが最優先される。ここで、問題であるが人的資本を高めるために最も大切なことは何か?をセミナーなどでたまにお話するのであるが、答えはいうまでもなく健康である。
偉そうなことを言いながら私自身健康管理が徹底できてないため、先週からの風邪がまだ完治していない。真のプロであるイチロー選手はシーズン中に風邪を引くような行動は決してとらないだろう。まだまだプロとしての自覚が足りないのだと自己反省しつつ、一週間ぶりのブログを書いているところである。人的資本を高めるためには、多少頭なんか悪くてもいい、心身ともに健康であることが何よりも大事である。
17日のNYダウは、前日比194ドル高となり13000ドルを回復した。今後の世界経済の先行きが見通しにくくなっていることが株価に反映されているようだが実体経済には大きな変化はなくマーケットで思惑が交錯している状況。
またミサイル実験に失敗した北朝鮮やイラン、アフガンなどの地政学リスクも気になるところ。中国の経済減速も懸念されるが、新興国においては金融緩和余地が大きいこともあり、更なる景気の悪化には歯止めがかかると予想する。17日、インドは3年ぶりに政策金利を0.5%下げ8%とした。マーケットは利下げを好感し、株価は大きく上昇。インドはインフレリスクよりも景気刺激を優先したと言える。大きな転換点である。
さて世界の中で最も深刻な地域は、やはり欧州ということになるだろう。モンティ首相が奮闘しているイタリアにおいても国民がその改革についていけるかが大きな問題である。陽気なイタリア人には、経済学者のモンティ首相は意外と受けないかもしれない。欧州経済の停滞が確実な今、世界経済のカギを握るのはアメリカ経済ということになる。世界の中心が西から東へ移っていることは間違いないが、意外と東にもいろいろ問題があり、世界経済はなんだかんだ言って、やはりアメリカ経済に依存するという構図となっている。4月22日(日)にはフランス大統領選挙の1回目の投票が行われる。現職のサルコジ大統領とオランド候補の2強争いは、確実。2回目、5月6日の決戦投票に持ち込まるのは必至である。欧州債務危機が小康状態になっていることからサルコジ大統領が追い上げているが、この1カ月の欧州景気が大きく左右することになるだろう。今年は世界の主要国のリーダーが変わる年であるが、これまでのところ台湾やロシアでは波乱は起きていない。フランス大統領選挙は、欧州の未来を占う意味でも重要である。
確かに今の世界経済は盤石とは程遠いもののNYダウが13000ドルという水準にあることは、アメリカ経済の強さを物語っている。日本の日経平均株価がバブル期の4分の1になっているのに対して、ダウは最高値が14164ドルであり、今の株価13115ドルは、最高値からわずか8%下回っているだけである。リーマンショック後の2009年3月の底値からNYダウは、2倍の水準に上昇している。NYダウと日経平均の違いはいったい何なのか?日本は、そのことを真剣に考えてみる必要がありそうだ。
第8回スノーボールは、生命保険業界にイノベーションを起こしているライフネット生命の出口社長をスペシャルゲストにお招きし、講演していただくことになった。スノーボールは単に著名な方にお話をしていただく会ではなく、真のプロフェッショナルの皆様にお話をしていただく会である。有名=実力があるという公式は全く当てはまらないが出口社長は本物のプロフェッショナルであることが著書やコラム、一連のご発言からも一目瞭然である。大手生命保険会社の社長といえば名前も顔も知らないし、あえて話を聞きたいとも思わないが出口社長の話は、ぜひ聞いてみたいと素直に思った。
先日、ご挨拶を兼ねスノーボールの主旨についてご説明するためライフネット生命本社を友人の弁護士と広告代理店のKさんと3人で訪問させていただいた。まず驚いたのは出口社長が経済や金融に関する景気指標や統計数字や業界に関連するニュースを正確に把握していることであった。たまたま日本の貿易赤字の話題になった際に、財務省が発表する通関ベースの貿易統計とIMFベースの国際収支の赤字が何年ぶりなのか正確に記憶されていたことには驚いた。また殆ど報道されない日銀の審議委員の人事案について質問をぶつけてみたが、明快なオピニオンを披露してくださった。金融経済のことは、もちろん世界の歴史や古典など幅広い分野に深い見識をお持ちであることに感銘を受けた。また私たちが訪問する前にスノーボールのホームページにも目を通してくださっていたし、ライフネット生命創業当時からの顧客Kさんに社長じきじきご丁寧にお礼を述べられていた。日本生命の社長では絶対にありえないし、もしあり得たとしてもパフォーマンスに過ぎないだろう。お会いして30分後には私もすっかり出口社長のファンになっていた。私自身、ファイナンシャルアドバイザーで生命保険会社に勤務した経験もあるため生命保険のことや業界の裏側も多少知っているが、日本の生保業界は硬直的でイノベーションがなく世界でも類のない独特な市場と言っていいだろう。
そういえば日本の生命保険会社のみならず日本の金融サービス自体にイノベーションがないとドラッカーの著書に書かれていたのを思い出す。よく言われていることであるが、ほとんどの世帯が生命保険に加入しているにも関わらず、保障内容をしっかりと把握して生命保険に加入している人はまだまだ多くない。
資産形成=(収入-支出)+(資産×運用利回り)である。なかなか収入が伸びない一方で、税金・社会保険料が上昇するため、可処分所得が増えない。歴史的な低金利下において長期金利は1%とい水準。10年間1%で運用するリスクも決して小さくない。金利上昇、インフレは忘れたころにやってくるかもしれない。私も常々お客様に行っていることであるが、このような時代にはちょこちょこ投資してパソコンをチラチラ見るよりも人的資産価値を上げることつまり自己投資を最優先するべきである。自分の価値が高まれば年収は上がるだろう。どんなに頑張っても年収が上がらない会社で自分の価値を正当に評価してくれない会社であれば転職や起業も選択肢の一つである。いい忘れたがライフネット生命の保険に加入して支出を減らすことも可処分所得の上昇に寄与するだろう。ライフネット生命が登場した際には、ネットで生命保険が売れるのか?と私も懐疑的であったが、見事に成熟した日本の巨大市場にイノベーションを起こしつつある。まだその挑戦は始まったばかりかもしれないが、急速な少子高齢化を迎える日本社会において注目すべき企業の一つであることは間違いない。さて生命保険と言えば、ちなみに私はプルデンシャルの保険に加入している。その後、大病をして生命保険に救われた経験を持っているだけに生命保険の重要性を知っているつもりである。既に完治したものの、おそらく既往歴があるため生命保険に加入することは難しいだろう。特に20代、30代の若い人にとって保険料の負担は大きいが、無保険はよろしくない。『相互扶助の精神』を理解していれば、保険料の負担が誰かの役に立っていることが理解できるはず。誰もが自分のライフプランについてしっかり考えるべきであり、病気をしてからでは保険に加入することはできない。長くなったが、今から来月の出口社長の講演が楽しみである。
ご存知のように14日、中国人民銀行は人民元の対ドル相場の変動幅を1日あたり上下0.5%から1%に拡大すると発表した。2007年5月に0.3%から0.5%に拡大して以来の措置となった。
背景には中国経済の減速がある。2月の貿易収支が赤字になるなど元気がない。経済の停滞が続く欧州向けの輸出が振るわないのが大きな要因であるが、世界的なガソリン価格の高騰なども影響している。13日発表の1~3月期の実質GDPは8.1%と5四半期連続の減速となった。これまで中国は元売りドル買い介入を繰り返して元安を人為的に維持して輸出を伸ばしてきた。しかし、昨年末から外貨準備高が減少するなど、景気減速によって元相場が下落するという事態になっている。中長期的には元は高くなっていく事は間違いないが、最大の輸出相手である欧州の経済停滞によって中国の輸出は苦しい状況に置かれている。中国人民元が下げ基調にあるタイミングでの発表は、中国指導部の危機感の大きさを表している。今後の世界経済を占う意味で世界第2位の経済大国である中国の景気動向が世界経済に与える影響はあまりにも大きい。今回の措置が人民元相場のボラティリティ―を高めることは確実であるが、どのように推移していくのか注目である。
今回のニュースを見て1985年のプラザ合意を思い出した。プラザ合意後に急激な円高ドル安が日本のバブル崩壊の起点となったという見方もあるが急激な元高は、中国のバブル崩壊リスクが高まるという事でもあるのだ。変動幅が大きくなるということは元高リスクを抱えるということ。もちろん中国は日本のバブル崩壊を研究し、元をコントロールし、ゆっくりと人民元改革を進めているためプラザ合意後の円のようになる可能性は小さい。
それにしても秋の指導部交代前に中国指導部は次々と手を打っている。中国における温家宝首相の手腕は、とても大きいだけに習近平体制の中国経済、人民元がどうなるのか?非常に気になるところである。
先進国の株式市場が調整局面を迎えている。日経平均は一時9400円を割り込み、NYダウも今年2番目の下げ幅を記録し13000ドルを割り込んだ。しかしマーケットには昨年のような緊迫感はなく、今回の下落は一時的な調整局面ということになるだろう。広義の意味での株式市場は上がれば下がるし、下がれば上がるというのが基本である。株が下がると、とってつけたように欧州リスク再燃とメディアが報じるが上海総合指数を見ても欧州経済の停滞は、織り込み済みであり、これ以上の更なる下げは予想しづらい。トレンドとしては総額で19兆円にのぼる復興需要、行き過ぎた円高の修正、欧州債務危機の一服などが追い風となり、日本経済を押し上げていくだろう。エコカー補助金の復活や、心理面の改善つまり自粛ムードが和らいだことは経済にとって大きなプラス要因となる。
今年は私の周りでも多くの人が花見を楽しんだようである。思えば昨年は特に東日本においては花見どころではなかったはず。花見一つとっても明らかに震災直後の昨年の4月と今では全く雰囲気が異なっている。アメリカ経済だって好調である。ついにアップルの時価総額は一時6000億ドルを超え、1999年に記録したマイクロソフトの6040億ドルに近づいた。雇用統計が市場予測を下回ったといっても雇用は着実に増えており、新車販売も好調である。オバマ対ロムニーという構図がほぼ確実になった大統領選挙であるが、このままアメリカ経済が堅調であればオバマ勝利で決まりそう。2012年の日米経済は好調。新興国はやや不安があるものの金融緩和の余地は大きく、最も警戒すべきはインフレリスクということになりそう。新興国だけではなくガソリン高はアメリカ経済にとって頭の痛いところ。日本の政治は、何が何だか分からないが4月26日の小沢一郎氏の判決によって大きく動き出す可能性が大きい。詳しい方に有罪の可能性の方が高いのではないかとお話を聞いたが、果たしてどうなるのか?
春はワクワクするが、なんだか慌ただしい。日々のマーケットの動きにいちいち一喜一憂することなくどっしりと構えていたい。結論から言うと、今のマーケットの下落は、過度に心配する必要はない。なぜなら日米の実体経済がいいからである。全く問題ない。
第7回スノーボールのタイムスケジュール
タイムスケジュール
2012年4月10日(火)19時~21時
◇19時00分~19時20分 世界経済ダイジェスト(中浜)
世界経済と金融市場の現状およびアップルの配当について解説。
今回のメイン講師 大谷慎 氏(帝人ファーマ)
◇19時30分~20時00分
講演テーマ 『将棋と算盤~将棋ノウハウをビジネスに生かす』
◇20時00分~20時30分 小池正一郎氏による金融市場動向の解説
◇20時30分~21時00分 メンバー5名による5分間スピーチ
*21時15分から有志による懇親会を実施。
2012年3月の世界経済を振り返ってみる。3月に初旬に発表された2月の米新車販売台数は前年同月比15.7%増の114万台となり9カ月連続で増加した。年率換算では1510万台となり4年ぶりの高水準となった。
毎月発表される米国の新車販売台数は米国景気を占う上で注目すべき指標であるが、この数字からもアメリカ経済の堅調ぶりがうかがえる。日本もエコカー補助金の復活や東日本大震災やタイの洪水の影響が軽減されたことにより2月の新車販売は前年同月比で30%増の51万9000台(軽自動車含)となった。今年の日米景気は予想通りではあるが好調である。しかし内閣府が発表した2011年10月~12月の需給ギャップはマイナス3.4%と3四半期ぶりに拡大したという事実にはとてもがっかりした。年率換算で約15兆円の需要不足となり、依然デフレの状況を脱していない現状が明らかになったのだ。日本経済は復興需要が本格的に始まっており、短期的には楽観できるものの、中長期で見るとやや不安な状況にかわりはない。2月の貿易収支は329億円の黒字となった。5カ月ぶりの黒字となったものの、アメリカ向けが好調であったのに対してこれまで好調であったアジア向けが振るわなかった。
これまで世界の成長センターであった中国の景気減速によって上海総合指数が急落するなど新興国経済の景気減速は鮮明になってきた。ブラジル、インド、ベトナムの中央銀行は相次いで政策金利を引き下げ、景気を刺激する構えである。特にブラジルのルセフ大統領は先進国の金融緩和マネーを『通貨のツナミ』と批判するなど、レアルの上昇がブラジル経済に与える影響を懸念している。成熟した先進国の金融緩和マネーが実体経済ではなく金融資産に向かっている構図が浮かび上がってくる。
ロシア大統領選挙でプーチンが圧勝。北朝鮮の人工衛星打ち上げ問題、アップルの配当再開、中国における重慶市トップの解任騒動、イラクでの爆破テロなどさまざまな出来事があった3月であったが、最も重要なニュースは、3月20日にギリシャが約1兆6千億円の国債償還を無事に乗り切ったことだろう。
ほとんどニュースにもならなかったが、ギリシャが無秩序な破綻を免れたことは、今の世界経済にとってこれ以上ないニュースである。世界経済が2012年3月20日を無事に乗り切ったことの意味は、非常に大きい。
昨日4月2日は、私にとって社会人20年目のスタートという節目の日であった。たまたまであるが、その節目の日に大学時代の先輩と20年ぶりに再会した。
大学卒業後の私は、東京に2年住んだ後、海外に長くいた。両親も愛媛から東北、アメリカ、愛媛と転々としていたため、大学の同窓会名簿に私の名前は、行方不明者と記載されていた。行方不明者にリストされるくらいだから私自身も4年間を過ごした山口の事はすっかり忘れていたのであるが、ある日先輩がフェイスブックで私の名前を見つけたことがきっかけとなり、昨日の再会につながったのだ。
先輩とは同じ学部にもかかわらず大学では一度も会うことはなかったが、たまたまバイト先が同じだったのだ。山口の名物社長が経営する大学の近くにある酒の三平でバイトをしていたメンバー達とよく遊んでいたが特に先輩とはウマがあい、バイトしたお金で酒を買いよく一緒に飲んでいた。お互いに10分程度で大学卒業後の20年間をざっと説明しあった。飲みながら話しているうちに大学時代の記憶がよみがえってきたのか当時の私のエピソードが先輩の口から次々と出てきた。関西人で弁が立つ先輩のトークと自分の愚かさに思わず腹を抱えて笑ってしまった。そして盛り上がってきたところで名物社長に電話してみることにした。
『20年前にそちらでバイトしていた中浜ですが社長はいますか?』とお店に電話すると懐かしい社長の声が聞こえた。70歳を過ぎているはずだが、あいかわらず元気な声であった。社長は、学生時代の私が将来、経営者になりたいということを知っていたので仕事の合間に『どうしてバランスシートの左側に資産があって、右側に負債があるのか?はまちゃん知ってるか?(なぜか、はまちゃんと呼ばれていた)』という具合に経営についていろいろレクチャーしてくれた。バイトが終わった深夜にレジの現金を集計しながら日本経済や政治について社長と何時間も議論したこともあった。大学の授業は面白くなかったが、学生時代に本をたくさん読んでいたので4年生になるころには社長と議論できるくらいの知識は身についていた。今思えば、大学の講義よりも現役の経営者の言葉は、勉強になった。最後に社長が『携帯番号教えて!』と言ったので社長に番号を伝えて電話を切った。考えてみれば、お世話になった人にまだ何のお返しも出来ていない。社長が元気なうちに、美味しい酒を飲みながら経営について議論してみたい。久しぶりに山口に行きたくなった!
2011年から経済と金融市場の動向をお伝えするために一部の皆様にPDF配信してきました『中浜経済研究室+PLUS+』は、誠に勝手ながら終了させていただきます。レポートを作る時間を、人に会う時間に振り替えていきたいと考えています。今後は、お客様との面談および当ブログに絞って価値ある情報提供に努めてまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。金融市場レポートは、当サイトから閲覧可能です。
2月18日のブログでAKBバブルの崩壊を大胆予想したあとに友人の経営者にAKBバブルは『どうでもいい』と言われた(笑)が、どうでもいいことにこそビジネスや人生におけるヒントは隠されているのである。
さて私の予測が的中するかのように先日、AKBの絶対的エースあっちゃんこと前田敦子が卒業を発表した。これには、前田敦子ファンのうちの娘も驚いていた。それはさておき、これを機に急速にAKBバブル崩壊は確実になったのだ。今年の私の予想は、自分でいうのも何であるが、確かにきれすぎている。ユーロ危機の収束、日本株の上昇、円安などの予測がこれまでのところ恐ろしいほどに的中している。単なるまぐれなのか?それとも私の洞察力なのか?それは皆さんのご判断にお任せするとしよう。
さて話を戻すがAKBと比較してはいけないと思いつつも世界一のエクセレントカンパニー、アップルと比較してみよう。快進撃を続けるアップルであるがピークは過ぎたと考えていると、先日のブログに書いた。
しかし、ピークを過ぎたと言ってもAKBとアップルには大きな違いがある。
アップルは企業であり、つまりアップルという組織がゴーイングコンサーンである点である。AKBはユニットであり、持続可能な組織ではないため、超優良企業のように100年以上存続することは、さすがに出来ないわけだ。AKBというユニットは、急速に消えていくが、むしろ前田敦子は、ソロでもそこそこ売れるだろう。
一方、エクセレントカンパニーであるアップルは持続可能であり、仮にソニーのように緩やかに衰退したとしても、少なくとも50年は生き残れるだろう。アップルのピークは越えたと考えているが、世界一大きい企業であり、ブランド、資本ストック、著作権やノウハウ、人材、ファンなど過去の蓄積は大きい。AKBバブルが見事に崩壊したため、AKBネタは、今回で最後としたい。
先日、北海道大学にある博物館であらためて目にした事実であるがノーベル賞の中で唯一日本人が受賞していない賞がノーベル経済学賞である。ご存知の方も多いと思うが、経済に興味を持っている身としては、少し寂しい感じである。ノーベル経済学賞の歴代受賞者は、そのほとんどがアメリカ人で占められており、世界一の経済大国アメリカの強さの源泉になっている。もちろん人間が決める賞であるため、完全にフェアなものではないとしてもこの分野でアメリカが他を圧倒していることは間違いない事実である。日本では特に化学や物理の分野で優れた研究成果が発表されている一方で、経済に関する研究では世界に通用する人物が少ない。これには様々な理由があるが、日本の大学で教えられている経済学自体が、時代遅れでマイナーな学問になっていることもあるのだろう。スポーツの世界に例えるなら、日本における経済学の地位は、野球でもサッカーでもなく、一昔前の世界で全く通用しない日本の男子ゴルフのようなものかもしれない。残念ながら、日本の経済学者は世界では全く存在感がない。なぜか経済学者と聞くと、野球解説者のような無責任な評論家のように感じるのは私だけだろうか。
さてノーベル賞とは直接関係ないが、米FRBのバーナンキ議長はプリンストン大学で日本のバブルを研究していた。この分野では、P.クルーグマンなどと並んで第一人者であることは有名である。彼がリーマンショック後のアメリカの金融政策のかじ取りを先頭に立ってやっている事は、学問を実践に生かそうとしているまさにいい例である。もちろんバーナンキ議長の政策が正しかったかどうかはまだ分からないが、研究成果を実践に結び付けるという意味では、アメリカの経済学および経済学者は素晴らしいと思う。そういえば来日したイタリアのモンティ首相も経済学者である。経済のことを知り抜いているプロが一国のリーダーになったのである。
一方、日本では、経済学者の地位はビジネスリーダーや政治家に比べてかなり低く見られている印象を受ける。実際に学問がビジネスの現場に生かされないために学者自身もビジネスの現場経験などに乏しいことも原因である。しかし、これは学者だけの責任ではなく、日本の企業や政府が優秀な人を生かすことが下手であることに大きな原因があると考えている。かつての終身雇用制度は、労働者ばかりではなく企業にも大きなメリットをもたらしたが、一方で日本の労働市場を硬直的にしてしまった点は大きなマイナスであった。プロ野球の世界で20年のキャリアは確かに凄いが、サラリーマンを20年やっている人はどこにでもいる。サラリーマンは、同じ会社に長くいれば偉いというものでもない。実際にはどこにも転職できないから居座っている人も相当多いはずである。もちろんプロ中のプロもたくさんいることを私も知っているが、大企業においても優秀な人材は一握りである。日本社会の閉鎖性や特殊性は、非関税障壁になるなど海外企業の参入を妨げ、ある意味で強みになっている面もあるが、グローバル競争においてはデメリットも大きい。
そういえば小泉政権時代に銀行の不良債権処理を断行したのは学者である竹中平蔵氏であった。海外景気の好調という追い風はあったものの竹中平蔵氏は、近年の日本経済にとって司令塔と言える初めての人物であったような気がする。経済学は、役に立つのか?であるが、それを活用する側の裁量によるというのが私の考えである。それは経済学に限った事ではないのかもしれないが経済学とは、人間そのものであり、なかなか難しい学問だとつくづく思う。
スティーブ・ジョブズ亡き後もアップルの快進撃が続いている。株価は遂に600ドルを超え、時価総額は約47兆円。日本の名目GDPの10%である。手元資金が8兆円となり、株主に配当する以外にいい方法は、みつからなかった。
この先、アップルはどうなるのだろう?マイクロソフトがかつてそうだったように、アップルも既にピークを迎えたとみるべきだろう。ここまで大きくなりすぎるとさすがに難しい。マイクロソフトのようにソフトランディングして超優良企業の座をキープするのか?あるいはソニーのように衰退の道を歩むのか?
個人的に、やはりジョブズがいないアップルは、井深さんと盛田さんがいないソニーのように10年後には凡庸な企業になっている可能性が高いと考えている。
昨夜、東京大学で開催した講義『誰も教えてくれない経済の基本』は、参加者の皆さんのおかげで大盛会となった。
第一部では、1989年に起きたベルリンの壁崩壊から東西ドイツ統一、ソ連崩壊、ITバブル崩壊、9.11テロ事件、リーマンショック、欧州債務危機そして2011年の東日本大震災までの大きな流れについて解説した。皆さんが生まれたころに起きた激動の時代について知っておくことはとても重要である。
ある学生さんからの質問で、ITバブル崩壊後にグリーンスパンFRB議長がとった低金利策が住宅バブルを招く一つの要因になったという経緯がどうも理解できないというご意見をいただいた。とても鋭い質問であるが、このことを理解するためには、中央銀行の役割や金融政策、そしてそもそも金利がどのように経済に影響するのかという理解が必要である。大学生でそのことを理解している人は、少ないだろう。金融市場は経済を映す鏡であり、経済を理解するためには金融についての理解が欠かせない。金融を理解すれば、経済の理解が深まり、経済が立体的に見えてくるというわけだ。
第二部では、経済指標について。日本のGDP、個人消費、設備投資、公共事業、貿易収支などをどう読み解くか、解説した。羅列された数字の意味を読むには、コツがある。世の中にこれだけインターネットが広がり、誰でも世界中のメディア情報に接することが出来る時代になった。この点は、ある意味、みんな平等と言っていい。誰かが特別な情報を持つということは困難な時代である。しかし、与えられた情報をどう解釈するか?どう読み解くか?というところで大きな違いが出てくる。情報を読み解くコツを高めることによって飛躍的に経済に対する知識は高まってくると思われる。情報処理能力を磨くことである。
セミナーを終えた感想としてこのような活動を継続していく事によって学生の皆さんの人的資産の向上に貢献できるかもしれないと感じた。少なくとも金融や経済に興味を持っていただく学生が少しでも増えれば、それでいいだろう。次回は、『誰も教えてくれない金融の基本』というテーマで行いたいと思う。講義の後の懇親会でも若い皆さんのエネルギーが充満していていい刺激をいただいた。彼らが伸び伸びと働く環境さえ、しっかりと整えば日本の未来は、明るくなることを確信した。
【誰も教えてくれない経済の基本】は、満席になりましたので申し込みの受付を終了いたしました。お申込みいただいた学生の皆様、有難うございます。
日経平均の上昇は、年初来20%を超えた。これは、久しぶりの大相場となりそうだ。円も急速に下げている。単純であるが円安になると考えている人が円高になると考えている人より多いからだ。金融相場による将来的な副作用が懸念されるものの短期的には実体経済にいい効果を与えるだろう。なぜマーケットの雰囲気が変わったのか?色々原因はあるが円高もデフレもおそらくピークだったという事だろう。
長らくデフレから脱却出来なかった日本であるが、経済の縮小を伴って需給ギャップが小さくなっている。リーーマンショック後の2009年1-3月期には45兆円の需要不足といわれた。日本の名目GDPは480兆円であることを考えればとんでもない数字である。東日本大震災でサプライチェーンの寸断によって供給が小さくなるなどして需給ギャップは小さくなった。GDPは頭打ちとなっており、長期で見れば楽観できるような状態ではないかもしれないが、長く続いたデフレはこの1,2年で収束に向かうだろう。付け加えておくが日銀の金融政策でデフレが終わったのではない。需給ギャップが長い時間をかけて解消されたというのがその理由。東日本大震災から1年が過ぎ、日本経済は新たなステージに入った。デフレに一定のメドがついた今、財政問題が最大の焦点になることは間違いないだろう。
ちょっとした笑い話であるが、高級車ポルシェの保有率が世界で最も高い国は、ギリシャだそうだ。最近、ギリシャを旅行した友人に聞いた話であるが、アテネ市街で確かにポルシェを結構見かけたそうだ。殆どの人が借金で高級車を買っている可能性が大きい。あるいは闇経済で仕入れたものかもしれない。秩序ある破綻によって債務削減が行われたギリシャ問題は、ひとまず収束したと言っていいだろう。しかし、国家の破綻とは一体何なのか?考えさせられる問題である。
日本にとってもギリシャの破綻は対岸の火事ではないし、根本的にギリシャと日本は大きな違いもたくさんあるが、それにしても積み重なった財政赤字は如何ともしがたくどこかで、日本の財政も破綻する可能性は大きい。ポルシェに乗っていれば金持ちと言える単純な時代は終わった。モノではなく精神的な豊かさこそが新しい富の形かもしれない。それにしてもポルシェに責任はないが、ギリシャの保有率が世界一と聞くとなんだかとても陳腐な車に思えてしまうから不思議なものである。
マーケットに立ち込めていた暗雲が取り除かれ、晴れ間が見えてきた。どこまでこの金融相場が続くのか分からないが、実体経済に波及すれば大相場になる可能性がますます高まってきた。これまで世界経済の構図は、成熟した先進国と成長する新興国という構図であったが、2012年は好調な先進国と成長疲れの新興国という構図になりつつある。もちろん先進国といってもドイツとイギリスでは様相が違うし、新興国においても好調なインドネシアと経済が減速するブラジルや中国などを新興国と一括りにはできないため、もう少し細かく見ていかなければならない。中国にも優良企業とダメな企業が存在しているように、中国経済を見る場合も、マクロ的な視点よりもミクロの視点を重視する時代になったと言えるだろう。
為替も一時は50円になると紫の頭の怪しい大学教授が大胆な予測をしていたが、やはりはずれた。少子高齢化、人口減、財政赤字、経済成長率、貿易収支、経常収支黒字の減少などを考えれば、いつまでも円が一方的に買われるのはおかしかったということである。それにしても経済評論家と呼ばれる人たちは、円が50円になると予測しても何の責任もないお気楽な職業である。またいつか円高局面になれば知らんぷりで紫の頭でテレビに登場してくるのだろうか。だとすれば殆どコメディのような話である。円高が終わり円安に傾いてくると今度は、円安インフレ論者の伝説のトレーダーがメディアに露出してくる。そしてハイパーインフレのリスクを謳いはじめるというわけだ。これまで全く予測を外していたことは無視して、やはり円安になってきたと平気で言う。
結局のところ、金融のプロだとか、大学教授の予測は、素人と同様に半分くらいしか当たらないということを前提として考えなければならない。ただし、ドラッカーやバフェットのように高い確率で未来を予測できる本物の人物がいることも事実である。日本の学者では、個人的に分かりやすさを含めて注目しているのが東大の伊藤元重教授である。伊藤氏が著書で指摘しているとおり、『為替は、わからない』という結論は、説得力がある。これは結果的に素人と同じ発言であるが、わからないという結論に至ったプロセスがとても重要である。為替ほどではないが、株価を予測することも、ますます困難な時代になってきた。もう一度原点に戻るべきだろう。やはり資産運用は敗者のゲームなのだ。